下林のエンジニアブログ

効果的なサービス開発を目指すためのあれこれ

効率的で課題解決的な態度にひそむ罠について

この記事は「はてなディレクターアドベントカレンダー」の18日目の記事として書かれました。

id:shimobayashiと申します。数年前からはてなという会社でディレクターという肩書で働いています。コードも書いてますけどね。 今回はディレクターアドベントカレンダーということで、マネージャー的な側面から表題の件について書いてみることにしました。

さて、一般的に効率的であることと課題解決的であることは良い態度とされていると思います。

実際にはこの2つが重なると、現在の課題についてのみ話すようになりがちです。なぜなら、効率的であろうとするほど話題を絞りがちですし、課題解決的であるほど課題について考えがちだからです。会議の場なんかでは顕著ですね。

そうなると「ここがうまくいってないよね」という会話しかせずに「ここはうまくいってるね」という会話はしなくなりがちです。そうした会話が続くと段々と自己肯定感が失われてきて、つらい気持ちになると思います。つらくなると、楽しくなくなって、自分がやっていることに自信が持てなくなり、次第に逃げ出したくなってきます。 つまり、精神的なコストが発生するということです。

マネージャーとして、クリティカルになるようなコストは排除したいと考えるのは自然なことでしょう。 そして、このような精神的コストは十分にクリティカルになり得ると個人的には感じています。

これが「ひそむ罠」です。

それではどうするべきなのでしょうか? 先ず基本的に、効率的であり課題解決的であることは歓迎されるべき態度であることに変わりはないと思います。 となると必要なのは、そうした態度の上で発生する精神的コストにケアすることではないでしょうか。 言い換えると、どのようなケアをするべきなのでしょうか?

正直この点について自分はあまり良い考えを持っていません。 短期では愚直に効率的で課題解決的な態度を取ることがコスパが最適だろうけど、中長期的にはおそらくそうではないというのが今回の気づきです。なので普段からバランスを取るように気をつけるという話にはなるのですが、「気をつける」というアクションプランほど無意味なものも無いと思います。

少しだけ掘り下げると、価値基準に「楽しさ」を加えるということが考えられます。要するにこの話は楽しさの問題なので、その点に気をつけていれば問題を避けられそうです。 「楽しさ」は意外と表面的なところでも改善できる要素なのかなと感じていて、例えばチャットでemojiをちょっと使ってみるだけでも楽しい雰囲気にはなりそうです。

そこからもう少し手を伸ばすと、例えば振り返りのKPTで時間を取って意識的にKeepを取り上げるといった取り組みも有効かもしれません。試しに最近そうしてみていますが、少し良くなった気がします。 あるいは、KPTはProblemやTryにフォーカスしがちなのでもっと他のフレームワークを試してみるのも良いかもしれません。YWTまたやりたいと思うことを5つリストアップするなど、色々やりようはありそうです。 一般社会ではお祭りを定期的にやって盛り上がってるわけで、ああいう感じをもっとうまく取り入れられないかとぼんやり思うこともあります。

他にはどんなケアが考えられるでしょうか?ぜひ色んな方の意見を聞きたいところです。

プロフェッショナルは自己批判的であるものだと考えていますが、それでも人間なのでつらいものはつらいです。 本質的に癒やしや自信を与えてくれるのは過去の圧倒的な成功体験だと思っていますが、若いメンバーの集まる会社だと自分も含めてそうした体験を持っていないことが多いので難しいなあと感じています。

こちらからは以上です。 明日はid:shiba_yu36のエントリーをお楽しみにどうぞ。